https://www.amazon.co.jp/dp/B085W3YHP5/
Wikipediaによると,ロシア映画らしいです。
なんでも,「金日成の誕生祭の記録映画」だったものが,撮影の過程に北朝鮮当局がかなり介入してきたため,それを含めて「その裏側もえがいちゃろ!」という主旨だとか。
2時間近くありますが,面白いです。
ろくに情報も無い,知らない国に行って,ちょっとした観光をしている気分になります。
注目すべき点は多いです。
4分ごろ。
ぞろぞろと人が集まってきて,ラジオ体操をしている場面。
マスゲームみたいに,整っていません。
本来の姿っぽいシーン。
地面は氷で覆われており,こんなところで「ラジオ体操するのか,しかもヒールで」とか思いました。
自分ならコケる,体幹が自然と鍛えられそうです。
10分ごろ。
教員のしゃべる内容(ストーリー)を必死に聞いて,あとから口頭諮問に答えるシーン。
思考力を育むとかそんなことはない,知識オンリーの授業。
その知識もめちゃくちゃ偏っていて,急に出てくる悪い日本人。
「考えるな,覚えろ」って感じです。
22分ごろ。
主人公一家が,北朝鮮の生産するキムチの素晴らしさについて,語りながら食事をするシーン。
真っ白な壁の部屋,あるのは,丸テーブルとその上にずらっと並んだキムチ料理。
家族3人,フローリングに直座り(座布団とかはないです)。
そして,金日成と金正日の肖像画,ソファーの上に謎の白いクマの巨大なぬいぐるみ。
サイレント・ヒルでも,もうちょっとアイテムを散らかしていると思います。
ホラーです。
36分あたり。
地下鉄シーン。めちゃくちゃ長いエスカレーターを降りたところに,プラットフォームがあります。
いろんなところが,ちょっとサイレント・ヒル,チック。
多分,車内で「誰もしゃべっていない」こと,「車内の吊り広告など一切無い」こと,将軍様の肖像画だけ飾られていること,が理由でしょうか。
将軍様の肖像画は,「金日成」と「金正日」だけです。
そのあと,唐突に超巨大な金正恩の肖像画が出てきます。やべえ。
(もしかしたら,これは金正日かもしれない,イマイチ分からん)
48分あたり。
豆乳生成工場のシーンの後,商品を詰め込み出荷するシーンでしょうか。
大量に出てくるトラックのメーカーが全部「NISSAN」。
もしかしたら,「NISSAN」という名前の北朝鮮企業かもしれませんが。
唐突に大量の日本車が出てきたので笑いました。どこから来たんだ。
54分あたり。
家に帰っている途中でしょうか。
めちゃくちゃ長蛇の列。
「野球観戦すると,入場前にあれぐらいの列ができますね」,って感じの列。
説明がないので,何のシーンかは不明。
とにかく,体力勝負な国だということは伝わります。
アルストツカかな,まんま置き換えても成立しそう。
56分あたりから。
軍の偉い人でしょう,軍服全体に「・・・鎧かな」ってぐらいに勲章がついてます。
動く度に,勲章同士がぶつかってカシャカシャ音が鳴るところがおしゃれ。
「米軍は精神力が乏しいから弱い!」みたいな演説は,昔どこかで言っていた国があると思う。
同じく56分あたりから。
偉い軍人さんの話す,昔話(朝鮮戦争)を延々と聞かされる少年たち。
主人公と同じぐらいとすれば8歳ほど。
朝鮮戦争なんて,前知識がないものを,延々としゃべられても全く実感がないだろうし,飽きるのは確実。
その中で,寝落ちしてしまいそうな少年が映される。
しかし,ここで「寝落ち」すると,同時に命も失ってしまうだろうことから,「必死に」寝ないように姿勢を維持しようとしている少年の姿を,ずっとカメラが追っています。
今の小学生に見せて,「君たちは平和な国に生まれていてよかったね」と使えるぐらいの素晴らしいカット。
1時間3分あたり。
暗い密室で金正恩万歳といった旨の映像を,ずっと見せられる主人公(8歳)。
昔読んだ,オウム真理教の洗脳の仕方がこんなんだった気がします。
1時間20分あたり。
生誕祭のセレモニーの演習風景の一場面,だと思います。
その背景に,
「金日成大元帥様と,金正日大元帥様のおかげで,我らの学校にもPC(超デカいブラウン管)が行き届いております」
みたいな絵が急に出てきて,とりあえずビックリしました,すごい世界だ。
(この映画でのIT要素はここしかないです。たまに携帯電話が出るぐらいかな。)
1時間24分あたり。
北朝鮮のプロパガンダ音楽の面白さと,後ろに立てている看板が倒れないように,必死に支えている役の人も見所。
マスゲームが終わった後,「順番に撤収する」場面は,小学校の運動会をエクステンドしたような感じ。
「しゃべらずに動けてすごいですね!」って思っちゃった。
プロパガンダ音楽については,こちらもオウム真理教と同じ感じがします。
オウム真理教はたしか,そこそこちゃんとした作曲家を引っ張ってきて,信者や一般人に「分かりやすい」音楽を作らせていたように聞いたことがあります。
思考停止して聞ける音楽。
ただ,クラシック調ではない,ところどころシンセも入っている。
中毒性のある謎音楽です。
可能ならApple MusicやAmazon Prime Musicとかでストリーミングしてほしい地下音楽。
(北朝鮮の人々にとっては,地下音楽ではないが)
1時間36分あたり。
多分,日本で言うところのAKB48みたいな立ち位置。
そのセンターをとるのは生半可な努力では難しかろう。
マイクが自動的に床下に収納されているのも面白かった。
機械式だと思いながら観てたけど,あれ,実は下に人がいて,紐で引っ張ってマイクを下げていたといわれてもおかしくはない。
1時間39分あたり。
電力で動く,ケーブルバスでしょうか。
電力がとれるところまで,大勢でバスを押しているように見えます。
説明が全くないので,謎シーンの一つ。
1時間41分あたり。
多くのマンションが建ち並んでいますが,陽が落ちても,どの部屋の窓の明かりもつきません。
すごい違和感。
1時間44分辺り。
金日成と,金正日の巨大像。
おそらくはハリボテ。あのでかさを銅像で作ることはできまい。
お台場のガンダムや,福岡のνガンダムと戦わせてみたい。
ファンネルが飛び交う平壌。逆シャア並の撮影ができるはず。
1時間46分辺り。
冒頭での詰め込み教育故,思考力が育まれていない。
「好きなものは?」と聞かれて,アドリブで答えられない。
1時間38分辺り。
スタッフロールに合わせて,誕生祭に捧げられた花を「雑に」回収している人と,周りを見渡す,おそらくは当局の人。
目つきが恐い。
というぐらい,見所がめちゃくちゃあります。
流し見で良いので観てみるべき映画の一つです。
自分は平和な国に生まれ,過ごしているだなと実感します。
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