『太陽の下で—真実の北朝鮮—』

 2022年1月6日

https://www.amazon.co.jp/dp/B085W3YHP5/

Wikipediaによると,ロシア映画らしいです。

なんでも,「金日成の誕生祭の記録映画」だったものが,撮影の過程に北朝鮮当局がかなり介入してきたため,それを含めて「その裏側もえがいちゃろ!」という主旨だとか。

2時間近くありますが,面白いです。

ろくに情報も無い,知らない国に行って,ちょっとした観光をしている気分になります。

作品内の見所

注目すべき点は多いです。

ラジオ体操

4分ごろ。

ぞろぞろと人が集まってきて,ラジオ体操をしている場面。

マスゲームみたいに,整っていません。

本来の姿っぽいシーン。

地面は氷で覆われており,こんなところで「ラジオ体操するのか,しかもヒールで」とか思いました。

自分ならコケる,体幹が自然と鍛えられそうです。

超詰め込み教育

10分ごろ。

教員のしゃべる内容(ストーリー)を必死に聞いて,あとから口頭諮問に答えるシーン。

思考力を育むとかそんなことはない,知識オンリーの授業。

その知識もめちゃくちゃ偏っていて,急に出てくる悪い日本人。

「考えるな,覚えろ」って感じです。

サイレント・ヒルよりも味気ない部屋

22分ごろ。

主人公一家が,北朝鮮の生産するキムチの素晴らしさについて,語りながら食事をするシーン。

真っ白な壁の部屋,あるのは,丸テーブルとその上にずらっと並んだキムチ料理。

家族3人,フローリングに直座り(座布団とかはないです)。

そして,金日成と金正日の肖像画,ソファーの上に謎の白いクマの巨大なぬいぐるみ

サイレント・ヒルでも,もうちょっとアイテムを散らかしていると思います。

ホラーです。

地下鉄のプラットフォームにある将軍様の肖像画

36分あたり。

地下鉄シーン。めちゃくちゃ長いエスカレーターを降りたところに,プラットフォームがあります。

いろんなところが,ちょっとサイレント・ヒル,チック。

多分,車内で「誰もしゃべっていない」こと,「車内の吊り広告など一切無い」こと,将軍様の肖像画だけ飾られていること,が理由でしょうか。

将軍様の肖像画は,「金日成」と「金正日」だけです。

そのあと,唐突に超巨大な金正恩の肖像画が出てきます。やべえ。

(もしかしたら,これは金正日かもしれない,イマイチ分からん)

やったれ!N産!

48分あたり。

豆乳生成工場のシーンの後,商品を詰め込み出荷するシーンでしょうか。

大量に出てくるトラックのメーカーが全部「NISSAN」。

もしかしたら,「NISSAN」という名前の北朝鮮企業かもしれませんが。

唐突に大量の日本車が出てきたので笑いました。どこから来たんだ。

帰宅する労働者?

54分あたり。

家に帰っている途中でしょうか。

めちゃくちゃ長蛇の列。

「野球観戦すると,入場前にあれぐらいの列ができますね」,って感じの列。

説明がないので,何のシーンかは不明。

とにかく,体力勝負な国だということは伝わります。

アルストツカかな,まんま置き換えても成立しそう。

ものすごい勲章がついた軍服

56分あたりから。

軍の偉い人でしょう,軍服全体に「・・・鎧かな」ってぐらいに勲章がついてます。

動く度に,勲章同士がぶつかってカシャカシャ音が鳴るところがおしゃれ。

「米軍は精神力が乏しいから弱い!」みたいな演説は,昔どこかで言っていた国があると思う。

絶対に寝てはならぬ

同じく56分あたりから。

偉い軍人さんの話す,昔話(朝鮮戦争)を延々と聞かされる少年たち。

主人公と同じぐらいとすれば8歳ほど。

朝鮮戦争なんて,前知識がないものを,延々としゃべられても全く実感がないだろうし,飽きるのは確実。

その中で,寝落ちしてしまいそうな少年が映される。

しかし,ここで「寝落ち」すると,同時に命も失ってしまうだろうことから,「必死に」寝ないように姿勢を維持しようとしている少年の姿を,ずっとカメラが追っています。

今の小学生に見せて,「君たちは平和な国に生まれていてよかったね」と使えるぐらいの素晴らしいカット。

どこかで聞いた風景

1時間3分あたり。

暗い密室金正恩万歳といった旨の映像を,ずっと見せられる主人公(8歳)。

昔読んだ,オウム真理教の洗脳の仕方がこんなんだった気がします。

ICT教育国家 北朝鮮

1時間20分あたり。

生誕祭のセレモニーの演習風景の一場面,だと思います。

その背景に,

「金日成大元帥様と,金正日大元帥様のおかげで,我らの学校にもPC(超デカいブラウン管)が行き届いております」

みたいな絵が急に出てきて,とりあえずビックリしました,すごい世界だ。

(この映画でのIT要素はここしかないです。たまに携帯電話が出るぐらいかな。)

おなじみ超すごいマスゲーム

1時間24分あたり。

北朝鮮のプロパガンダ音楽の面白さと,後ろに立てている看板が倒れないように,必死に支えている役の人も見所。

マスゲームが終わった後,「順番に撤収する」場面は,小学校の運動会をエクステンドしたような感じ。

「しゃべらずに動けてすごいですね!」って思っちゃった。

プロパガンダ音楽については,こちらもオウム真理教と同じ感じがします。

オウム真理教はたしか,そこそこちゃんとした作曲家を引っ張ってきて,信者や一般人に「分かりやすい」音楽を作らせていたように聞いたことがあります。

思考停止して聞ける音楽。

ただ,クラシック調ではない,ところどころシンセも入っている。

中毒性のある謎音楽です。

可能ならApple MusicやAmazon Prime Musicとかでストリーミングしてほしい地下音楽。

(北朝鮮の人々にとっては,地下音楽ではないが)

超でかい赤カーテンが開きあらわれる少年団

1時間36分あたり。

多分,日本で言うところのAKB48みたいな立ち位置。

そのセンターをとるのは生半可な努力では難しかろう。

マイクが自動的に床下に収納されているのも面白かった。

機械式だと思いながら観てたけど,あれ,実は下に人がいて,紐で引っ張ってマイクを下げていたといわれてもおかしくはない。

バスを押す市民

1時間39分あたり。

電力で動く,ケーブルバスでしょうか。

電力がとれるところまで,大勢でバスを押しているように見えます。

説明が全くないので,謎シーンの一つ。

明かりが1つもついていないマンション群

1時間41分あたり。

多くのマンションが建ち並んでいますが,陽が落ちても,どの部屋の窓の明かりもつきません。

すごい違和感。

「進撃の巨人」バリの巨像

1時間44分辺り。

金日成と,金正日の巨大像

おそらくはハリボテ。あのでかさを銅像で作ることはできまい。

お台場のガンダムや,福岡のνガンダムと戦わせてみたい。

ファンネルが飛び交う平壌。逆シャア並の撮影ができるはず。

主人公の思考力

1時間46分辺り。

冒頭での詰め込み教育故,思考力が育まれていない。

「好きなものは?」と聞かれて,アドリブで答えられない。

エンディングすらも皮肉

1時間38分辺り。

スタッフロールに合わせて,誕生祭に捧げられた花を「雑に」回収している人と,周りを見渡す,おそらくは当局の人。

目つきが恐い。

書き切れない

というぐらい,見所がめちゃくちゃあります。

流し見で良いので観てみるべき映画の一つです。

自分は平和な国に生まれ,過ごしているだなと実感します。