ダーティペア「第7話」のストーリーが時代を先読みしすぎている

2022年1月14日

https://www.youtube.com/watch?v=syDT6i0MMAs

初見は20年前

「ダーティペア」は私が小学生のころ,CATV(ANIMAX)で再放送をしていました。

(確か,土曜日の夜8時ぐらい)

ちらっと見ることがあったのですが,強烈に覚えているストーリーが2話ほどあります。

そのうちの1つがこの話。

1985年にこのストーリーを作るのがすごい

以下ネタバレ

今でこそ,「LGBT」(「LGBTQ」とか)という言葉が当たり前のものになっていますが,当時は絶対そうではなかったはず。

それを先取っています。

簡単にストーリーを書くと,

「大企業の御曹司が,親の縁談話を全部断って,自分の愛を貫く」

という話ですが,終盤にどんでん返しが起こります。

社長(玄田哲章)「黙らんか,親不孝者めが。できれば穏便にその女と別れさせたかったが。」

ジョアンカ(勝生真沙子)「それほどまでに,わたしのことがお嫌いなんですか?」

社長「当たり前だ,おまえは,おまえは元はと言えば男ではないか!

それは,「御曹司の恋人が,性転換手術を受けた元『男』だったということ」です。

御曹司(難波圭一)「やめてよパパ。過去の話なんてどうだっていい。今のジョアンカは立派な女性だ!」

社長「いくら手術を受け身体が女であっても,断じておまえ達の仲を許すわけにはいかん!」

その後に続くケイのセリフ。

ケイ「だからどうしたっていうのよ。頭古いんじゃないの?

ユリ「今や10人にひとりが,転換手術を受けている時代なのに!

ケイ「あんたの秘書よりマシだよ」(注:秘書=社長の愛人)

当時小学生だった自分にとって,このストーリーは超強烈でした。

SFとはいえ,「10人にひとりが性転換手術を受けている未来」は衝撃ものでした。

そして,ジョアンカは捉えられ,社長の会社のロケットを使って宇宙に放り出されます。

社長「また会えるさ。スペースブリッドは一定の軌道を描いて戻ってくる。」

御曹司「え?」

社長「おまえの好きなジョアンカもあのままの姿で帰ってくる。ただし,50年後にな!

(略)

社長「浦島効果によりジョアンカは歳をとらぬが,おまえはそのとき72歳。はたして愛し合えるかな?」

相対性理論的な何かによって,御曹司とジョアンカの間には,50年の時間差が生まれてしまいます。

すると,御曹司は残ったロケットの1台を使って,それを追いかけます

さらに,息子を失いたくない社長は,最後の1台のロケットに乗り込み,それを追いかけ,エンディングです。

この,「そのままの姿で,あっという間に50年の時が過ぎる」というのも,ショッキングなストーリーでした。

上の2つの要素が重なって,この話がとても印象に残っています。

良いポイントが多すぎる7話。

・冒頭の結婚式のシーン,御曹司が一夫多妻制なのか,大量のヴァラエティ豊かなフィアンセを連れて歩いていると思ったら,御曹司の手にかかっているのは,逃げられないようにするための鎖。

・唐突に流れる,葬送行進曲。

・タイトルが良い,「愛こそすべて 命賭けます逃避行!!」

・ユリ「あたし,贅沢なんか言わない。海の見える丘に,2万ヘクタールのおうちを買ってもらえれば。

・アナウンサー「さあ,今流行の浦島効果体験ツアー。あなたも光に近づいて,禁断の世界へ一歩足を踏み込んでみませんか。」

*このシーンを覚えておかないと,ラストシーンが分からない。さらっと重要シーン。

・ダーティペアが形勢逆転しそうなシーンで,急にマシンガンを乱射しながら乱入して,社長側に形勢を立て直す「企画部長」

・修理中のナンモ。顔が未完成。

・「ラブリー・エンジェル」で宇宙センターにつっこむダーティペアの戦闘シーンの描き込み。

簡単に取り上げるだけでもこれだけ。

近未来SFとして,見事なストーリーの7話です!


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